つくり手の想いを、使う人に届ける

アッシュコンセプト株式会社

アッシュコンセプト株式会社

デザイナー

「ものづくりを通じて世の中を元気に」という理念を掲げ、オリジナルブランド「+d」や様々な企業・産地とつくり上げてきたブランドを世界に発信するアッシュコンセプト。ものをつくる人と使う人をつなげるデザインプラットフォーム『KONCENT』を国内外に展開し、商品企画・デザイン・製造・流通・販売まで一貫して手がけています。そんな同社では現在、デザイナーを募集しています。今回は『KONCENT』蔵前店がある東京本社で、代表の名児耶(なごや)さんと取締役の砂口さん、リーダーの藤田さんにお話を聞きました。

ゲスト

  • 名児耶さん

    名児耶秀美さん

    代表取締役

  • 砂口さん

    砂口あやさん

    取締役 デザインdiv.マネージャー

  • 藤田さん

    藤田吏さん

    デザインdiv.リーダー

みんなをhappyにしたい



田尻亨太

田尻亨太

まず代表の名児耶さんに、会社の立ち上げ背景を伺いたいと思います。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

話すと長くなっちゃうけどいいですか?

田尻亨太

田尻亨太

はい、大丈夫です(笑)

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

私の実家は100年以上続くブラシ屋さんなんですね。私は次男坊だったので「実家を継ぐ必要はない」と思い、小さい頃から美術や漫画など好きなことをやってきました。

それで、デザイン関係の仕事に就きたいと思って武蔵野美術大学に入学したんですけど、「なんかつまらないな」と思っていたんです。

そんなとき、高島屋のショーウィンドウを手がけているデンマークの有名なデザイナー、ペア・シュメルシュアさんがアシスタントを募集していたんですね。「これだ!」と思った私は、さっそく応募してペアさんのもとでアシスタントをすることになりました。

当時は大学2年の終わり頃で、一応スキー部の部長をやったり、サーフィンをやったりしていたんですけど、大学にはほとんど行かず、ペアさんの仕事を手伝っているようなひどい学生でした。

田尻亨太

田尻亨太

なるほど。学生時代からすごい方のもとで働いていたんですね。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

ペアさんからはいろんなことを学びました。デザインだけでなく、コミュニケーションの取り方とか、空間の中でプロダクトを美しく見せる方法とか。全てが貴重な経験でした。

そして就活の時期を迎えた頃、ペアさんに「宣伝部に興味あるか?」と聞かれたので、「はい、興味あります!」と答えたんです。当時、宣伝部って花形で憧れていたんですね。するとペアさんが、高島屋の宣伝部に私を紹介してくれたんです。

そんな経緯で、大学卒業後は高島屋で働いていたんですけど、ある日突然父が倒れてしまい。病院にお見舞いに行ったら「お前、実家手伝え」って父から言われて、渋々実家に戻ったんですね。すると、「え、うちってこんなに小さい会社だったっけ……?」と思うほど、経営が上手くいっていなかった。

そこで「デザインでこの会社を変えよう」と思い、経営にデザインを取り入れていったんです。するとみるみる会社が変わって、数億円だった年商が何十倍にもなったんです。





田尻亨太

田尻亨太

す、すごすぎる。でもなんで家業が順調だったのに、アッシュコンセプトを立ち上げることになったんですか?

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

いろんな外部のデザイナーと製品開発を進めているうちに、「日本のデザイナーは世界一だ」と気づいたんです。

でも日本って、昔からデザイナーの名前が表に一切出てこない。大御所の名前は知られていますけど、民芸のこけしとか、誰がデザインしたか知っている人はほとんどいませんよね。

家業の展示会で「このデザイナーがこのデザインをしました」というのを貼り出すと、父や兄に「なんでこんなことするんだ」と怒られていました。でも、それだとデザイナーたちが元気になれない。

「だったら、自分がデザイナーの名前を表に出しながらブランドをつくっていこう」と思って、2002年にアッシュコンセプトを立ち上げたんです。ね、長くなっちゃったでしょ(笑)

田尻亨太

田尻亨太

いえいえ、すごくいいお話でした。「デザイナーの名前を出しながらブランドをつくる」って、具体的にどんなことをされているのでしょうか?

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

会社を立ち上げたときは、「+d」っていう、デザイナーを全面に出したブランドをつくっていて、彼ら彼女らのデザインを世界に広めたいと思っていたんですね。

ただ、次第にいろんなところから「うちの会社のデザインも見てくれない?」と相談がくるようになって、「そっか、人の会社のデザインもできるんだ」ということに気づいたんです。

そこから、相談を受けた現場に出向いていって、問題点をヒアリングして、どうしたらみんなに得があるかを一緒に考える「デザインコンサルティング」をするようになりました。

で、気づいたら産地や企業と一緒につくったものや自分たちのブランドがたくさんできたので、2012年に『KONCENT』というショップをオープンしたんです。



田尻亨太

田尻亨太

実は取材前に店舗を見させていただいたんですけど、「スタッフさんたちがイキイキしていて素敵だな」って思いました。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

私自身がデザインバカだから、うちのスタッフもみんなデザインが大好きで。本当にいい人が多いんですよ。

田尻亨太

田尻亨太

好きを仕事にしている人たちの集団っていいですよね。みんな主体的に動いてくれますし。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

そうですね。私自身が「人を殺すな、嘘をつくな、あとはOK」っていうスタンスなので、スタッフをルールで縛ることはしません。人ってやるべきことや、やっちゃいけないことは自分でわかっているはずだから。

田尻亨太

田尻亨太

それだけ、代表である名児耶さんとスタッフさんとの間に強い信頼関係があるのだと思います。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

ただ「売上を伸ばすため」だけには仕事をしたくない。私はこの会社を、社会における自分たちの“彫刻”だと思っているんですよ。

僕らは自分たちで会社をデザインしている。だから、その趣旨に合わない人は居づらくなって辞めていくし、共感する人はずっと働いてくれる。だから、うちは「人材が宝」なんです。志のある人たちが残ってくれるから、みんなすごくいい仕事をしてくれる。

田尻亨太

田尻亨太

創業者の想いを共有できる組織はやはり強いですよね。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

事業をやっているとどうしても「お客様は神様です」みたいな志向になりがちなんですけど、私は「お客様のために」っていうのが嫌いで。どちらかというと「enjoy」を大切にしたい。

田尻亨太

田尻亨太

といいますと?

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

お客様を喜ばせるということは、お客様のいうことを聞くことじゃないんです。お客様が喜んでいる姿を見て、私たちも嬉しくなる。それが本来あるべき姿だと思うんです。



田尻亨太

田尻亨太

HPで拝見したのですが、社名にもそんな想いが込められているんですよね。

happy、heart、hello……。「h」から始まる言葉には、人の心を豊かにしてくれる響きがある。関わるみんなを幸せにしたいと。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

会社を立ち上げたときに、自分の人生を“棚卸し”したんです。「自分は何をしてきたんだろう。何ができるんだろう。どんな会社をつくりたいんだろう」って。

そのときに、「みんなをhappyにしたい」って思ったんです。私もhappyになりたいけど、社員もhappyになってほしいし、クライアントや社会全体もhappyにしたい。だから、happyとかhelloとかha-haとか、いろんな「h」で始まる言葉が浮かんできて。会社のコンセプトを「h」にしました。

ただ、「“エッチ”コンセプト」だと誰もHPを見てくれないと思ったので、フランス語読みにして「アッシュコンセプト」という社名にしたんです。

田尻亨太

田尻亨太

なるほど。先ほど店舗を拝見したときも、スタッフさんから「お客様をhappyにしたい」という想いが伝わってきました。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

そうでしょ。うちはつくり手の想いを店舗のスタッフがちゃんとお客様に伝えられるようにしている。人って心が動いたときにしか物を買ってくれないからね。僕らは恋人みたいなものをつくりたい。なくてもいいんだけど、いてくれたら楽しいような。

田尻亨太

田尻亨太

素敵ですね。

名児耶秀美

名児耶秀美 さん

日本って石油もとれないし、資源がないって言われているじゃない?でも、日本の「デザイン」っていう資源は世界一だと思っていて。せっかく最高の資源があるのに、それを使わずにものづくりしているところがあまりにも多い。

たしかにデザインにはお金がかかるかもしれないけど、デザインを使っていかないとやっぱりいいものは生まれないし、中国にも勝てない。みんながちゃんとデザインの必要性を理解して、ものづくりというか、心づくりみたいなことをちゃんとできる。

そんなデザインコンサルをやっていきたいですね。ゆくゆくは日本を、ものづくりの観光で元気な国にしたいんです。